ここでは世界経済の低迷が今後も続いた場合について書く。世界経済の成長率がグローバルに鈍化し続けると、他国の金利が一段と低下し、もともとゼロ金利である日本との差が縮まってしまう。例えば、日本を除く先進国の2年金利の平均と、日本の2年スワップ金利の差は、3年前の1.2%ポイントから現在では0.7%ポイントに縮小している。ここからさらに縮小すれば、円の低金利通貨という特色が一層薄れる。すでに日本の2年スワップ金利は先進10カ国の中で4番目に低く、実は超低金利国と言えるような状態ではない。こうした中、ドル円相場は相変わらず115.85円から125.85円の8.6%のレンジ内での取引を続けてきている。

主要通貨の中でドルと円の位置関係を見ても、昨年の8月半ばまでと今年は似ているところがある。昨年は8月半ばまでは主要10通貨の中で円が3番目に強く、ドルが5番目だったため、差がさほどなくドル円相場が動かなかった。今年は現在のところドルが3番目に強く、円が4番目に強くなっているため、差がついていない。

昨年のドル円相場は、9月に入るとレンジを上抜け上昇を始めた。そして10月初めには110円台に乗せ、いったん反落したが10月末の日銀追加緩和もあって結局12月には121円台まで急騰した。今年も同じように9月に入ればドル円相場は動き出すのだろうか。

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中国の動きについて

今回発表のGDPは前期比マイナスではあったが、最近は日本以上に世界経済の不調が目立つ。今年前半の世界全体の実質GDP成長率は、中国やブラジル、ロシアなど新興国経済減速の影響で、年率1.9%に留まったと見られる。世界経済の潜在成長率は2.7%前後と推定されているが、今年の早い段階では、今年の成長率は3%程度まで伸びるとされていたにもかかわらず大幅に減速してしまった。これに対し市場や主要先進国の経済アナリストは世界経済の潜在成長率の推定自体が甘すぎたのはとの指摘が出てきている位である。しかし、将来の株価や為替相場を占う上では潜在成長力よりも実質成長率のパフォーマンスを適時に評価しないと激しく揺れ動く市場の動きに追随していけないだろう。今後しばらくの間、市場の行方を占うために最重なのは、仮説をたてシミュレーションをきめ細かく行うことだと思う。そして、短中長期的な為替相場の予測に欠かせないポイントは、今後中国元の切り下げが実行された場合と世界経済が低迷から抜け出せない場合には円買いが進むかどうかである。

GDP成長率について

(2015年)8月に発表された日本の4~6月期実質国内総生産(GDP)は前期比年率で1.6%減と、昨年7―9月期以来3四半期ぶりのマイナス成長になった。ただ、市場の予測に比べると下落幅は小さく、1~3月期も前期比年率で3.9%増から4.5%増に上方修正であった。

この結果、今年前半の実質GDP成長率は年率換算で1.5%程度であり、決して満足できるものではないが、それなりに改善してきていると評価できる。なぜなら、リーマンショックの影響がなくなった2011年以降昨年までの4年間の実質GDP伸び率が平均0.7%程度に留まっていたことを考えれば、今年前半の成長率は堅調だったと言える。振り返ると、昨年までの4年間の欧米新興国のGDP成長率はばらつきはあるものの日本とは逆に堅調に推移していたが、今年以降は中国経済の減速傾向が目立ち始めてきている。特に中国は経済情勢悪化により内部調整として通貨切り下げを実施し市場ではさらなる切り下げ観測も出てきている。そして、本日発表された中国の製造業PMIは五ヶ月連続で景況改善と悪化の分かれ目となる50を下回り、中国経済の悪化がより深まっていく印象を市場に強く与えた。